再処理延期―核燃料路線の見直しを

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再処理延期―核燃料路線の見直しを 2010.09.26 朝日・社説

 青森県にある六ケ所再処理工場の本格操業が2年延期され、2012年となった。延期
は18回目、当初予定の1997年からは15年遅れだ。
 再処理工場は原発の使用済み燃料からプルトニウムを取り出す。日本の核燃料サイクル
路線の要の施設だ。試験運転中だが、放射性廃液とガラスを混ぜる工程がうまく動かない

 遅れに遅れている核燃料サイクルだが、当分の間、展望は開けない。
 ちょうど今年は原子力政策の基本方針である「原子力政策大綱」(05年策定)の改定
期だ。
 前回の策定では「使用済み燃料は全量再処理し、高速増殖炉で使う」という現路線のほ
かに、「使用済み燃料は再処理せずに捨てる」(直接処分)や「一部は直接処分」など複
数のシナリオを考え、経済性や資源節約の点から、かなり本格的に比較した。
 その結果、全量を再処理するのは直接処分より割高で、発電コストを1割上げることが
わかった。
 だが原子力委員会は「今から路線を変更すると過去の投資が無駄になり新たな研究も必
要だ。施設立地地域との信頼も崩れる」という「政策変更コスト」の考えを持ち出し、「
変更の必要なし」とした。一つの視点だが、これではたいていの政策は変わらない。

 それから5年たったが、状況はむしろ厳しくなっている。
 核燃料サイクルで使う高速増殖炉は今年、原型炉「もんじゅ」が14年ぶりに運転を再
開したが、すぐ故障した。次の実証炉を建設するのが電力業界なのか、国なのかも決まっ
ていない。
 日本のサイクル路線の問題は、その硬直性にある。
 コスト高やプルトニウム管理の難しさから撤退する国が多いなかで、日本は全量利用を
基本とし、高速増殖炉で使うという一本の道しか用意していない。1970年代には多く
の国がとった路線だが、今や現実味が薄い。
 もっと柔軟な政策にすべきではないか。今でも一部の使用済み燃料をしばらく保管する
「中間貯蔵」をしているが、これを大幅拡大し、直接処分も考えるなど選択肢を広げるべ
きだ。
 原発建設計画にも課題がある。
 欧州連合と米国で昨年つくられた発電設備は、どちらも発電能力の割合で39%が風力
だという。新設に費用と手間のかかる原子力は「選択肢の一つ」になっている。
 日本のエネルギー基本計画では、現在の54基に加えて、20年までに9基、30年ま
でに14基以上の新増設をめざす。これまでもそうだったように、過大な計画ではないだ
ろうか。
 発電の30%を担う原子力は日本の社会を支えている。時代の変化を踏まえて、役割の
大きさにふさわしい合理的な政策に直していくべきだ。


【関連記事】

揺らぐコスト 負担先行  2010.9.17 朝日・科学
https://aspara.asahi.com/blog/science/entry/IOYnbbEi7z

核燃 展望なき操業延期   2010.9.11 朝日・経済

核燃サイクル―練り直すときではないか 2009.9.7 朝日・社説
http://megalodon.jp/2009-0907-1429-18/www.asahi.com/paper/editorial20090907.html

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