福島原発関連記事 2011年3月15日

河北新報 2011年03月15日火曜日 14:57
「どこまで逃げれば…」周辺の避難住民、不安と怒り交差

 かつてない重大な危機を迎えた。福島第1原発2号機で15日、最後のとりでの原子炉格納容器が損傷し、放射性物質が漏れだした。周囲の放射線量数値は一気に上がり、新たに30キロ圏内で屋内退避が指示された。「冷静に行動を」。菅直人首相は呼び掛けるが、東京電力からの情報は乏しい。「怖い」「国は何をしている」。交差する怒りと不安。「逃げるにも車の燃料がない」。住民の一人はあきらめの言葉を口にした。

 原子炉格納容器の中で何が起きているのか。放射性物質が広範囲に漏れたとみられる福島第1原発。「国は何をしているんだ」「どこまで逃げればいいのか…」。新たな屋内退避の指示も出た15日、周辺住民は20キロ圏外の避難先で不安と怒りをあらわにした。
 福島市に近い川俣町。5千人以上が避難してきている。新たな指示を受けて「最悪の状況も考え」(職員)11カ所の避難所に屋内退避を指示した。町対策本部の佐藤光正さんは「さらに遠くに避難させようにも難しい。とにかくガソリンがない。それに全住民にどうやって連絡するのか」と途方に暮れた。
 第1原発から西に30キロ離れた田村市にある常葉体育館。大熊町から避難した男性(51)は「大変なことが起きたとしか言いようがない。古里に戻りたいのはやまやまだが、先が見えない」と声を震わせた。
 常葉体育館には約600人が避難。数十人がテレビにくぎ付けとなった。男性は「1年たとうが、3年たとうが、生まれ育った場所に戻りたいというのはみんな同じ気持ち。その気持ちをなくしてしまったらどうにもならない」と語った。
 別の体育館では「国の対応は後手後手だ。不安を通り越して、あきらめの気持ち」と避難している50代の男性が声を震わせた。
 田村市のさらに西にある磐梯熱海温泉。旅館に避難した男性は家族と親戚の計13人で車4台に分乗して逃げてきたが「ガソリンがなく、身動きが取れない」という。温泉の駐車場では女性が「車でペットと一緒に逃げてきたが、宿泊施設が営業していなかった。冷えるが、今夜は野宿するしかない」と憔悴(しょうすい)した表情。
 約300人が避難する相馬市の避難所「スポーツアリーナそうま」の男性は「逃げる時に乗ってきた車はたくさんあるが、燃料がない。疲れ果てて動けない人もいる」と話した。
 田村市のグループホーム「今泉」では、つけっぱなしのテレビの周りに入所者が集まり、食い入るように見つめた。「大変だ。これからどうなるんだろうか…」。職員は動揺する入所者を落ち着かせながら、施設からの避難を求められた場合の方法を話し合った。
 職員の渡辺紀美代さん(44)は「体が不自由な入所者をどう避難させるか。避難所の環境は大丈夫なのか。入所者の面倒を見ながら、自分も避難しなければならない」と不安そうだった。


河北新報 2011年03月15日火曜日 14:57
冷静な行動を 福島知事訴え

 福島第1原発2号機で放射性物質漏れの危険性が高まった15日、福島県の佐藤雄平知事は住民に冷静な対応を求めるとともに「国を挙げ、事業者は社運をかけて全力で対策を講じていただきたい」と述べた。
 福島市内の災害対策本部で午前10時すぎから開かれた会議。知事は「落ち着いて行動してほしい」と県民に呼び掛けた。
 対策本部では職員らが不安や焦り、怒りを抱えながら奔走。南相馬市出身の30代の男性職員は仕事中に足を止め「私たちのふるさとは、一体どうなっちゃうんでしょう。怒り心頭です。こんなことになるなら(原発を)引き受けなければよかったのに」とこぼした。
 首相が第1原発の半径20キロから30キロ圏内の住民に屋内退避を指示したとするテロップがテレビに流れると、職員らの視線が一斉にくぎ付けに。
 災害対策課の職員は「詳しいことは分からないが、指示に従って早急に対応したい」と話した。住民の避難を担当する班は机の上に地図を広げ、該当範囲を確認。市町村への連絡に追われた。



河北新報 2011年03月15日火曜日 06:10
福島第1・第2原発事態深刻化 制御不能魔の連鎖

 東日本大震災で被害を受けた東京電力の福島第1、第2原発の綱渡りが続く。緊急炉心冷却装置(ECCS)の機能不全や建屋内の水素爆発と、未曽有の事態が発生。廃炉覚悟で「最後の手段」とされる海水を注入している。炉心が安定する「冷温停止」が難航。関係者や地域は固唾(かたず)をのんで見守る。

■過小評価
 大震災の発生時、第1原発では6基中3基(1、2、3号機)が、第2原発では4基すべての計7基が運転中だったが、揺れを感知して自動停止。深刻な事態は、この後、次々と襲った。
 外部からの電力供給がなくなった第1原発では、非常用ディーゼル発電機が津波で故障し、ECCSがストップ。第2原発では電力は失われなかったが、冷却水を冷やす海水を取り込む施設で不具合が発生した。これも津波の影響だった。
 この結果、第1、第2原発の多くで冷却能力を喪失。ECCSが健全なら、数時間で済む冷却作業が不能となり、消防車を使うなどして冷水の注入に追われた。東京電力は「想定外の規模の津波だった」とするが、専門家からは「津波の過小評価だ。対応が手薄」との批判も出た。

■炉心溶融
 1、3、2号機の順に冷却能力がなくなった第1原発では、余熱で原子炉の格納容器内の温度や圧力が上昇。東電は冷却用の水を大量に注入したが、蒸発したり、蒸気が配管から一部漏れたりして容器内にたまらず、水位は低下。注入しても思うように冷却効果が得られない状況に陥った。
 1、3号機では、通常は水につかっている燃料の一部がむき出しになり溶ける「炉心溶融」が起きた。圧力上昇が続くと格納容器が崩壊、大量の放射性物質の拡散が懸念されたことから、容器内の蒸気を外部に放出する「ベント」を行った。
 だが1、3号機では、燃料を覆う被覆管の金属と水蒸気が化学反応し、水素ガスが発生。格納容器の外側と建屋との間にたまり、ついに爆発、建屋の壁が崩壊した。格納容器は当面、保護されているとするが、制御不能ともいうべき事態に不安は広がる。

■廃炉覚悟
 第2原発の1、2、4号機も、非常時に炉心を冷やす水源となるプールの水が一時、100度を超え、油断できない状況が続いた。ベントを準備し、圧力が急上昇する場合は蒸気を逃す構えで冷却水を注入した結果、1、2号機は14日午後、ようやく冷温停止した。4号機も冷却のための作業が続いている。
 ベントを行った第1原発の1号機と3号機について東電は、炉心を冷やす「最後の手段」ともいえる海水注入を実施した。通常は真水を使う原子炉に海水を入れると、再び使うためには大きなコストがかかる。このため海水注入は廃炉も覚悟した処置といえる。
 後はこの作業を続け、冷温停止になるのを待つしかない。2号機では海水注入が難航し燃料が一時完全に露出、一段と深刻さを増している。


◎政府被害拡大防止に全力

 政府は14日、東日本大震災で爆発を起こした福島第1原発3号機や、冷却機能を喪失した同2号機による住民への被害拡大防止に全力を挙げた。東京電力がこの日から実施した計画停電への協力を国民に要請。被災地に生活物資を支援するため、2010年度予備費から302億円を支出する方針も決めた。
 枝野幸男官房長官は記者会見で、3号機で起きた爆発に伴う放射能漏れについて「周囲のモニタリングを注視しているが、今のところ観測値の上昇は見られない」と説明。2号機と併せて海水注入による原子炉安定化を目指す方針を示した。
 計画停電に関しては、菅直人首相が14日、政府の緊急災害対策本部会合で、国民生活への影響を最小限に抑えるよう努める考えを表明。「準備期間が短く国民生活に予想を超えた悪影響が出る可能性がある」と指摘した上で「多少社会活動が低下しても、国民生活に悪影響を出さないようお願いしたい」と求めた。
 枝野氏も記者会見で「不要不急の外出を控えるなど徹底して電力の使用を控えてほしい」と国民に呼び掛けた。首都圏で相次いだ鉄道運休に関しては「運休がなければより早く電力不足の状況に陥り、停電に至る可能性があった」と述べた。
 同時に東京電力の情報提供が二転三転したことをめぐり「国民の皆さんに混乱を与えた。迅速かつ正確な情報の報告を関係機関に徹底するよう指示したい」と強調した。


◎原発20キロ圏の患者らを搬送 福島県、750人対象

 福島県災害対策本部は14日、福島第1原発の半径20キロ圏内にある病院や特別養護老人ホームに取り残されていた患者や入所者の搬送を始めた。
 20キロ圏内には原発事故を受けて避難指示が出ているが、移動手段が限られているため施設側が支援を要請していた。
 災対本部によると、取り残されていたのは南相馬市、浪江町、大熊町にある6施設の約750人。自衛隊のバスなどが現地に向かい、同日午後5時までに3施設の計310人を圏外に運んだ。患者らは県の保健所で、被ばくの有無を確認するスクリーニングを受けたりした。
 残る南相馬市と浪江町の3施設には寝たきりの患者や高齢者もおり、自衛隊のヘリコプターで運び、容体に応じた治療ができる病院に運ぶとしている。


◎「危険を地方に押し付けてきた」国・東電に批判の声

 東日本大震災で、原子炉建屋の爆発と「計画停電」をめぐって、東京電力や国の情報開示は十分とはいえず、説明も二転三転した。識者らは14日、「危機管理のレベルが低い」とそろって批判。原子力行政や大都市住民の意識についても「危険を地方に押し付けてきた」と問題視した。
 「原発がこんなに危険とは。原発関連のニュースは専門用語が多く、本当に大丈夫なのか分からないうちに爆発が起きた」。長女がいわき市に住む作家のあさのあつこさんは憤る。
 あさのさんは「都会の消費のつけが地方に回っている。危険なものを地方に押し付ける構図は沖縄の米軍基地問題につながる。原発が必要なのか、もう一度ゼロから考えたい」と話した。
 京大原子炉実験所の小出裕章助教(原子核工学)は「東電は無能。何の手も打てないまま『安全だ』と楽観的な見通しを言うだけ。自己保身しか考えていない」と批判。
 「地方に原発を押し付けて、電気だけを使ってきた東京にこそ原発を造るべきだ」と、停電で混乱する首都圏にも厳しい目を向けた。
 危機管理コンサルタントの田中辰巳さんは東電の対応について「明らかに浮足立ってしまっている。なぜ事前の危機管理をこのレベルでしかやっていなかったのか」とあきれた様子。
 東電の清水正孝社長が13日の会見で「津波が想定を超えた」と強調したことに「原発を造る前に『地震と津波』はさんざん言われたこと。私は原発は造っていいと思うが、これでは今後の原発建設の可能性が摘まれてしまう」と指摘。
 停電は方針が二転三転したため、混乱を招いた。田中さんは「こまめに予定の情報開示をしないと、どんどん批判が高まるし、節電への国民の協力は得られない」と述べた。

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