【原発震災】再稼働目的 熱気は後退/「国が前面」の内実(上)/核のごみ・現と幻

河北新報 2014年11月24日月曜日

再稼働目的 熱気は後退/「国が前面」の内実(上)/核のごみ・現と幻
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201411/20141124_73013.html

 原発の高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定を目指す政府の熱気が冷めつつある。安倍晋三政権は「国が前面に立つ」と約束したが、ことし春としていた処分基本方針の改定時期を白紙に戻し、作業は停滞気味だ。最終処分問題に何が起きているのか。(東京支社・若林雅人)

<9月末に再開>
 安倍内閣の看板大臣が、春以降止まっていた手続きを前進させるかに見えた。
 「処分地選定の取り組みを進める」。内閣改造直後の9月上旬、小渕優子経済産業相(当時)は、最終処分の関係閣僚会議を早期に開く意向を明らかにし、先頭に立つ意気込みを語った。
 関係閣僚会議は、2014年春をめどに基本方針を改定すると決めた昨年12月の初開催後、途絶えていた。選定の在り方を議論している経産省の作業部会も、中間報告をまとめた5月以降は開かれず、改定作業も止まったままだった。
 小渕氏の号令で9月末に再開した関係閣僚会議は、作業部会で処分有望地の具体的な要件や基準を作ることを決めた。作業部会は10月23日に協議を再開。住民との協議の場設置などの検討を進めるとともに、有望地の要件や基準は別の作業部会を設け、並行して議論する方針を確認した。
 ただ、決めたのは手続きだけで、いずれも取りまとめ期限は設けられていない。政府は年内にも処分地として適・不適の地域を示すとみられていた。春までの議論を焼き直すかのような手順の再開で、基本方針改定と有望地提示の時期はすっかり不透明になった。

<「実績」づくり>
 ある委員が話す。「政府が、国民の信頼を十分に回復できていない今のまま有望地を示しても、理解を得られないと判断したのだろう。政府は、議論は進めていると国民に説明できる『手続きの実績』が欲しかったのではないか」
 春以降は「前面に立つ」との姿勢に程遠かった政府の背中を押したのは、原発の再稼働問題だったとの見方が強い。
 「再稼働の議論をすると必ず出るのは最終処分場の問題だ」
 10月24日、東京であった自民党の原子力政策関連部会と原発立地道県議会議長らとの意見交換会。飯塚秋男茨城県議会議長は、最終処分問題の解決に向け政府が一層努力する必要性を強調した。党側は元閣僚が「処分場の見通しがないと、原発反対派に反論しにくいのは確かだ」と応じた。

<説明会の直前>
 関係閣僚会議が開かれた9月末は、新規制基準下で最初となる九州電力川内原発(鹿児島県)の再稼働に向け、住民説明会が開かれる直前だった。臨時国会での論戦も控えていた。
 「処分地が決まらないまま原発を再稼働するのは無責任だ」という批判を封じ込めるかのように、議論は再開された。
 11月20日の作業部会で委員長の増田寛也元総務相は「自治体からの公募方式を維持しつつ、首長が『なぜここか』を説明する負担軽減のため有望地を示す」と話した。
 公募方式で選定が進まず、政府は昨年、「前面に立つ」として責任を持って「有望地を示す」と宣言した。その約束からは後退した感があった。

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