【原発震災】再稼働地元同意/範囲の拡大へ議論喚起を

河北新報 社説 2014年11月25日火曜日

再稼働地元同意/範囲の拡大へ議論喚起を
http://www.kahoku.co.jp/editorial/20141125_01.html

 東北電力の女川原発(宮城県女川町、石巻市)が立地する宮城県内で、原発再稼働の前提となる「地元同意」をめぐる首長の発言が相次いでいる。
 石巻市の亀山紘市長が今月10日の定例記者会見で「立地自治体だけではなく(原発から半径)30キロ圏内からも意見を聞くことが必要」との認識を示した。
 翌11日には仙台市の奥山恵美子市長が呼応。亀山市長の会見内容に触れながら「少なくとも30キロ圏内は一定の情報を得たり発言をしたりする権利があるのが望ましい」と述べた。
 女川原発に関しては現在、立地する女川町、石巻市と宮城県が東北電力と安全協定を締結。同意対象となる「地元」の範囲はこの3自治体に限られる。原発から半径30キロ圏に一部が入る登米、東松島の2市と涌谷、美里、南三陸の3町は蚊帳の外に置かれている。
 宮城県の村井嘉浩知事は、現状を変更する必要はないとの立場だ。10日の定例記者会見では安全協定に基づき「県と(立地自治体の)2市町とで合意すれば前に進めるということにしている」と強調した。
 30キロ圏は福島第1原発事故後、緊急防護措置区域(UPZ)に位置付けられた。過酷事故に備えるため防災・避難計画の策定が義務付けられている。
 村井知事はUPZと地元同意の関係について「切り分けて考えるべきだ」と言うが、ひとたび重大な事故が起これば、被害は広範囲にわたる。それが現実となった福島の教訓を踏まえれば、少なくとも、同意対象の在り方を問い直す必要がある。
 石巻、仙台の市長2人は「30キロ圏も同意対象に」とは踏み込んでいないものの、議論を喚起する可能性があるという点で発言は評価できる。
 国内では鹿児島県の九州電力川内原発が年明け以降に再稼働する見通しだ。立地する薩摩川内市が先月28日、県が今月7日に再稼働に同意した。
 原子力規制委員会が新規制基準に適合すると判断したのは9月10日。地元の手続きはとんとん拍子で進んだ印象で、再稼働や安全性の是非について議論が深まったとはとても言えない。
 ともに東北電力が再稼働を目指す女川原発、東通原発(青森県東通村)は、原子力規制委員会による安全審査がまだ時間を要する見通しで、地元対応が問われる局面はもっと先になる。
 だからこそ、今のうちに、同意対象をめぐるオープンな議論を活発化させることが重要だ。
 女川原発の30キロ圏については、立地自治体以外の5市町が東北電力との安全協定締結を目指す。トップ同士の話し合いは中断しているものの、地元同意についてどう考えているのか、公開での議論を期待したい。
 交付金など財政面で恩恵を受けてきた立地自治体に「地元同意」を委ねてきたが、福島第1原発事故を経てもなお、従来通りでいいのかどうか。事故の影響を今も受け、原発も抱える宮城をはじめ東北から国民的議論を巻き起こすことが必要だ。

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