【原発震災】女川30キロ圏7市町広域避難計画の策定に問題が百出

河北新報 2015年02月08日日曜日
<原発避難計画>女川30キロ圏7市町が苦慮
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 東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)から30キロ圏内の7市町=地図=が、重大事故を想定した広域避難計画の策定に頭を悩ませている。宮城県は昨年12月にガイドラインで避難先を明示し、年度内の取りまとめを要請した。計画を具体化する過程で問題が百出し、一部では策定が夏ごろにずれ込む可能性も出ている。

 ガイドラインによると、7市町で21万人が31市町村に避難する。最大の27市町村に分散する石巻市は、避難所が数百カ所と見込まれる。運営には受け入れ先の協力が不可欠で、事前の調整が求められる。
 避難経路も問題を抱える。牡鹿半島でルートに想定する県道2路線は地震などの災害時、通行できない恐れがある。市は「複合災害が起きたら住民は避難できず、計画が絵に描いた餅になりかねない」と危惧する。
 市民の92%が30キロ圏に居住する東松島市。ガイドラインの対象は約3万6000人だが、市は残る8%の約3000人も避難させる方針だ。
 避難先として示されているのは、仙台市以南の5市町。東松島市の担当者は「行政機能も移さざるを得ず、一部の住民を残しておくわけにはいかない」と説明する。
 高齢者ら要支援者への対応は、各市町の共通課題だ。自家用車での避難が難しいケースに備え、バスなどの移動手段を用意しなければならない。
 多岐にわたる項目を盛り込む避難計画の策定に、ある自治体の担当者は「3月まででは、あまりに時間が少ない。夏までかかるかもしれない」とこぼす。
 別の自治体の幹部は「年度内に策定したい気持ちはあるが、震災の被災市町は実効性のある計画でないと、住民を納得させることができない」と打ち明ける。
 ガイドラインは避難が長期に及んだ場合の支援態勢や、県と市町村の役割分担といった点が必ずしも明確になっていない。広域の移動手段や県境をまたいだ避難先の確保など、県に対応を求める声も多い。
 県原子力安全対策課は「隣県に声を掛けるなど市町村で足りない部分の支援策は検討している」とした上で「最初から完璧な計画はできない。まずは策定し、検証しながら改善していくことが大切だ」と説明する。

河北新報 2015年02月08日日曜日
<原発事故想定>女川5キロ圏にヨウ素剤を配布
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 宮城県は新年度、東北電力女川原発(女川町、石巻市)の事故に備え、半径5キロ圏の予防的防護措置区域(PAZ)の住民に対し、甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤を事前配布する方針を固めた。関連費約1500万円を2015年度一般会計当初予算案に計上する。
 事前配布は、原子力規制委員会の原子力災害対策指針に基づく対応。県によると、全国の原発立地県では鹿児島、愛媛、福井、佐賀が先行実施している。
 現時点で、ヨウ素剤の配布対象となるPAZの住民は約2000人を見込む。女川町、石巻市と連携して医師が立ち会う住民説明会を開き、服用目的や副作用を解説した上で配る。
 説明会に参加できない住民には別途説明の場を設けることや、歩行困難などやむを得ない事情で説明を受けられない住民に対しては家族らを通じて配ることも検討する。
 30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)の7市町には既に、安定ヨウ素剤計約45万錠が備蓄されている。備蓄先は役場や病院など。事故発生後に国の判断などを踏まえ、住民らに配られる見通しだ。
 県は事故への備えとして、新たに簡易型の電子線量計を約50台購入する方針も固めた。関連費用など約9500万円を当初予算案に盛り込む。
 緊急時にはUPZに搬送・配置し、空間の放射線量を測ることなどが想定される。測定データは自動的に県原子力センター(仙台市宮城野区)に集約され、事故対応に活用されるという。

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