ILCより地道なマチづくりを

放射能から子どもを守る岩手県南・宮城県北の会 世話人として2013年から「国際リニアコライダー(ILC)を日本に建設しないことを求める」活動をしてきました。そうした中で、以下の文書を入手したので再掲します。

ILC誘致を考える会(一関市)が、2019年3月8日 文部科学省(文科大臣)に提出した文書、2019年3月12日 岩手県知事 一関市長に提出した文書の最終版と思われるもの(現在確認中)を手に入れましたので、ここに書き出します。

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 ILCより地道なマチづくりを

 私たち「ILC誘致を考える会」(以下考える会と略)は、ILC誘致推進側が依頼した野村総合研究所の報告書が明らかになって初めてリスクやデメリットを知ったという人が多くなり、2年前に急遽設立した会です。これまで多くの研究会などを開催し、ILC誘致計画は多くの間題点を抱えており賛成出来ないことが明確になり、その旨の意見書を「日本学術会議」「文部科学省大臣」に提出してきました。このたび、政府見解が発表されましたので、「考える会」の意見を岩手県知事、一関市長に提出することにしました。なお、「考える会」はILCによる素粒子物理学の発展を否定してはいません。日本に誘致することを否定するだけですのでご承知ください。 ILC誘致は、日本学術会議の「所見」にありますように、技術、人材、費用額などで多くの問題があり、全く未熟な案と思われます。私たちは地元住民の立場で、以下の点を問題視し、誘致撤回を求めるとともに、今後、ILCなど放射能施設の岩手県への誘致を行わないよう要請します。

◎素粒子物理学研究者の問題点 ILC誘致を熱望するあまり4つの住民無視の行動を執っています

① 住民の賛成を得るため、根拠のない経済効果や出来もしない、「国際科学都市」などの虚偽情報(これは日本学術会議が否定しています)をばらまき、純朴な市民を騙してきたことです。また、東日本大震災の復興がいまだ不十分な情況を利用し、「復興に役立つ」などの宣伝をしてきました。しかし、陸前高田市のように山を切り崩し膨大な土石をかさ上げに使うなどの巨大プロジェクトは、復興どころか市民の減少を招くことになります。自然を破壊する巨大事業は決して住民のためにならないことは明らかです。

② 福島第一原発事故以降、除去出来ずたまり続ける放射能物質トリチウムが、ILCの実験でも発生するリスクを住民に隠してきたことです。トリチウムの被害は米国シカゴ近郊の原発周辺で低線量被曝と思われる子供達の被害が報告されているなど、未来世代に負の遺産を残すことになります。また、風評被害も想定され、将来、北上高地の自然を活かそうとする様々な活動の阻害要因となります。

③ 住民無視の科学者にあるまじき行動を執っています。彼らはリスクを十分に説明せずメリットだけを強調し行政を動かし、しかも、日本学術会議での議論で自分たちの主張が通らなかったのに、それを無視してトップダウン的に推進賛成の署名を集めさせたり、団体の組織決定を経ず、トップだけを集めてILC誘致を熱望する会を急遽設立させたり、マスコミに圧力をかけ、誘致に不利な記事や住民による反対意見を掲載させないなど、科学の発展とは無縁の非民主主義的行為を行っています。学術の立場におりながら科学コミュニティを否定し、自分たちの主張を政治力で実現しようとするのは、真っ当な科学者がやることでしょうか。このように彼らの行動にはパターナリズム的(強権主義的)姿勢が顕著です。これは素粒子物理学は科学の最先端を担っているとする自負が驕りとなっているからと思われます。

④ 岩手県や一関市が誘致に熱心なのを利用するだけで、科学コミュニティに対する働きかけを怠り、住民も無視し、強引に政治力を利用しようとしていることです。


◎行政の問題点 行政トップに住民第一の姿勢がないこと

① 岩手県知事や一関市長は、北上高地が太平洋プレートの沈み込みによる地震多発地帯で
あることを無視しています。政府の調査委員会は今年になり宮城県沖でマグニチュード7~7.5の地震が起きる確率は「90%程度」と発表していますし、近くに活断層があることも知られているのに、岩手県知事は最新の地学的知見を無視し、「北上山地の花こう岩を使った最新の研究施設は、そこにあるものを活かして未来を切り開くという地域資源活用の一環だ。」(河北新報、平成31年1月11日付)という暴論で自然破壊を容認しています。旧松尾鉱山の毒水中和に年間数億円を費やしていることを知っている人の発言とは到底信じられません。
 北上高地は古い地質が多いので、浸食が進み険しい起伏の地形となっています。そのため、経費が自治体負担となるトンネルの取り付け道路は、激しい自然破壊が予想されるだけでなく、金額も相当額になるでしょう。とても財政力の弱い岩手県が取るべき道ではありません。それとも県税を高くすればすむので、経費がいくら高くなっても構わないというのでしょうか。私たちは、県民の税金を負の遺産に使うことは許せないのです。

② 岩手県知事や一関市長の政治姿勢は住民に向いていません。一流の科学者が言うことだからと、リスクやデメリットに対して、もっぱら素粒子物理学者をトップに据えた東北ILC準備室に任せきりにしてきました。2019年度、岩手県は2億円以上、一関市は約2600万円を誘致関係費として計上するとのことですが、これらのお金は広告代理店や招聘された素粒子物理学者の報酬になるだけで、県民、市民のためにはなりません。一刻も早く予算化を停止し、10万円、20万円の活動費に困っているNPOなどに手当てし、地道なマチづくりに寄与するよう努めるべきです。


◎結論 2度の日本学術会議によるILCへの否定的見解は、学術コミュニティの間でILCを推進するコンセンサスを得ることが途方もなく難しいことを示しています。また、その中で、私たち市民が負わねばならないリスクや費用も明らかになってきたのに、それを無視して政治力で強引に放射能施設であるILCを誘致しようとする先には何があるのでしょうか。とても私たち県民、市民のためにならないことははっきりしてきました。このため、私たちは、岩手県、一関市に対してILC推進関係の会議体から撤退し、ILC誘致活動を停止することを要請します。私たちはこれ以上ILCによって対立したり苦しんだりすることを望みません。自然破壊の巨大プロジェクトではなく、北上高地の自然を活かした地道な政策遂行を望みます。

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