【ILC誘致を考える】東京新聞「次世代加速器 日中が競合 日本、巨額費用がネック」

東京新聞 2019年10月6日 朝刊
次世代加速器 日中が競合 日本、巨額費用がネック
 【北京=坪井千隼】中国が世界最大の加速器「CEPC」の開発に乗り出すのは、加速器が現代物理学の主戦場であり、基礎科学にとどまらず新産業を生み出す技術革新に直結するからだ。トランプ米政権は、米国の覇権を脅かすとして中国の産業育成策「中国製造2025」に警戒を強めるが、CEPCが完成すれば、ハイテク産業の基盤となる先端物理学研究は中国がけん引することになる。
 スイス、フランス国境にある現在最大の加速器「LHC」には、各国から数千人の科学者が集まり、二〇一三年ノーベル賞の対象になった、万物に質量を与える素粒子「ヒッグス粒子」発見など多くの成果を上げてきた。基礎研究に加え医療や材料、情報科学など産業に直結する応用研究の成果も多く、施設周辺にはハイテク関連企業が集積している。
 CEPCはLHCの四倍の規模で、LHCではわずかしか作れなかったヒッグス粒子を大量に作り、詳しい性質を調べることが可能になるとみられる。物理学者の多くは、ヒッグス粒子を宇宙誕生の謎や物質の成り立ちを解き明かす鍵と見ており、完成後は世界の物理学研究の中心拠点となる可能性が高い。計画を主導する王貽芳(おういほう)・中国科学院高能物理研究所長は「未来の教科書を書き換える研究成果が生まれるだろう」と自信を語る。
 一方、日本で建設が検討されている加速器「国際リニアコライダー(ILC)」は直線型の施設で、CEPCとは形状が異なる。だが重要な目的の一つはヒッグス粒子を大量に作り性質を調べることにあり、CEPCと競合することになる。
 ILCは国内外の物理学者らが中心となって設計、開発を進めており、日米欧の各国が費用を分担する構想。二五年ごろに着工し、三〇年代半ばの運転開始を目指す。建設費は約八千億円が見込まれ、設置国の日本の分担金は三千億円超。巨額の財政負担への懸念から日本政府は「慎重な議論が必要」と誘致の正式表明に踏み切れていない。
 ILC誘致に取り組む高エネルギー加速器研究機構の吉岡正和名誉教授は、「科学者は、国に関係なく研究環境の整った場所に集まる。中国が加速器を先に開発すれば、世界の研究者が中国で研究することになるだろう。議論が必要だといっても、時間はあまり残されていない」とILC計画の早期本格化を訴えた。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201910/CK2019100602000118.html?fbclid=IwAR0a0JxW0jWUQ8uIuGzbe30MVkh61D_Z5jFvmxreP-S_a2tC8tyB3pZGIEM

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