【ILC】連載「ILCの実像」 読売新聞 岩手・地域版の渾身の報道・その1

読売新聞 2020年10月3日(土曜日)23面・地域「岩手」
◆◆◆連載 ILCの実像◆◆◆
 文部科学省は9月30曰に発表した「基本構想ロードマップ」に国際リニアコライダー(ILC)計画を盛り込まず、県などが目指す北上高地地下への誘致は、早期の実現が難しくなった。地元が長年にわたって誘致活動を続けているにもかかわらず、状況がなかなか進展しないのはなぜか。ILC計画を多面的、客観的に検証し、今後の道筋を考える。

【ILCの実像 (1)】「建設費8000憶 見合うか」
 基本構想ロードマップには、着手の優先度が高い大型研究が盛り込まれる。ILC計画が記載されなかったのは、高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくぱ市)が3月、ロー’ドマップ記載への申請を取り下げたためだ。KEKは取り下げの理由として、欧米の研究機関などと国際協力する計画の内容が変更になったためだと説明し、ILC計画自体は着実に進展しているとする。
 実際に、各国の物理学者で組織する国際将来加速器委員会(ICFA)は8月、「国際推進チーム」を設立した。KEKを拠点としながら国内外で交渉を進め、2025年にも着工し、2035年にもILCの運用を始めるとの青写真を描く。
 ただ、岩手県内ではILC計画の是非についての議論はあまり交わされていない。有識者の間では、実現性や効果などについて懐疑的な見方をする人もいる。

「是非巡る議論少なく■トリチウム 扱い不安」
 「巨額投資に見合うだけの成果が出るのだろうか」家泰弘・東大名誉教授(68)は、電話帳のように分厚い「TDR」と呼ばれる資料をめくりながら、率直に思った。TD’Rは、ILC計画を進めるアジアや欧米の国際共同研究チームが作成した技術設計報告書だ。計1155ページに英文や数式、図がびっしりと並ぶ。家氏は2013年6月から2か月かけて読み込んだ。
 ILCは素粒子物理学や高エネルギー物理学の分野に属し、物質の根源に迫る研究領域だ。半導体や超電導が専門の家氏を含め、多くの物理学者にとっては「高根の花」のような存在でもある。
 だが、TDRを読んだ結果、その科学的意義はある程度理解できたものの、突っ込みどころも散見された。
「宇宙の謎に迫る究極の研究」という壮大な触れ込みのわりには、主な研究目的が「ヒッグス粒子の精密測定」であるのが気がかりだった。画期的な新発見はあるのだろうか。仮に何十年も性能を発揮し続けて、多くのデータを蓄積したとしても、家氏は「あくまで、登山道の入り口がわかるレベルでは」と感じた。
 8000億円とされる建設費も、どこか非現実的だった。ノーベル物理学賞の受賞につながった観測装置の後継となる「ハイパーカミオカンデ計画」は722億円、世界最高水準のスーパーコンピューター「富岳」は1100億円。ILCの研究費用は各国間で分担される見込みだが、日本がホスト国になれば4000億円程度を負担する必要がある。しかし、文科省の大型研究計画の関連予算は年開300億~400億円程度しかない。

 実験で出るトリチウムの扱いにも不安があった。トリチウムは弱い放射線を出し、東京電力福島第一原発の処理水にも含まれる。ILCでは、実験で衝突しなかった電子や陽電于の捨て場となる「ビームダンプ」と呼ばれる装置にトリチウム水が発生する(実験終了時点で100兆ベクレル/100リットル)。計画に携わる有識者らは異口同音に「安全だ」と強調するが、万が一の事態が起きないという保証はない。
 分厚いTDRの中で、ビームダンプに関する記述は2ページのみ。家氏は日本学術会議(東京)の副会長だった13年から足かけ5年余りにわたり、会議内に設置されたILCに関する検討委員会の委員長を務め、ビームダンプについて研究者にしつこく聞いたが、納得できる答えは得られなかった。委員からも「環境への配慮がもっと必要だ」との声が出た。
 「誘致を支持するには至らない」。検討委は18年末に見解をまとめ、文科省も翌2019年3月に誘致の判断を先送りした。
 家氏は、海外との連携を急ぐ動きに首をかしげる。「推進派は学術界の合意を得ずに『バイパス』しようとしているのだろうか。私たちの問いに真正面から答えないのは、科学者として望ましい姿とはいえない」

※国際リニアコライダー(ILC)とは? 海抜約100mの地下トンネルに全長20キロの直線型加速器を設置する国際プロジェクト。光速近くまで加速した電子と陽電子を衝突させて宇宙初期の高エネルギー状態を作り出し、質量の源とされ「神の粒子」と呼ばれるヒッグス粒子の様子を調べる。

読売新聞 2020年10月3日(土曜日)23面・地域「岩手」
◆◆◆「ILC誘致団体 決算公告行わず」6か年分 会員用画面に掲載◆◆◆
 国際リニアコライダー(ILC)の誘致活動を展開する一般社団法人「先端加速器科学技術推進協議会(AAA)」(東京)が2014年の設立以来、法律で義務付けられた決算公告をしていなかったことがわかった。読売新聞の指摘を受け、AAAは2日にホームページで決算を公告した。県はAAAと誘致に向けたイベントを共同で開催してきており、県のチェック体制も問われそうだ。
 一般社団・財団法人法では、官報やインターネットなどで毎年、決算を公告することを義務付けている。違反した場合は100万円以下の過料が科せられる。
 AAAは約款で、インターネットなどによる「電子公告」か官報での公告を行うとしているが、2014~2019年度の6か年分の決算は、会員への資料配布や、ユーザー名とパスワードの入力が必要な会員専用のネット画面でしか公告していなかった。法務省によると、これは同法が定める「不特定多数の者が認識することができる状態」ではないという。
 AAAは2月1日現在、「正会員」の民聞企業112社と「賛助会員」の大学や研究機関など41機関からなる。正会員には重電メーカーや電力会社などが名を連ね、AAAが入会費10万円、年会費1口10万円を徴収して運営している。会長は西岡喬・三菱重工業名誉顧問、副会長は鈴木厚人・岩手県立大学長(元KEK高エネルギー加速器研究機構長)。AAA事務局は取材に対し「隠蔽(いんぺい)する意図はなかった」と話した。岩手県のILC推進局は「法律で定められた手続きをきちんとやってほしい。今後も連系していきたい」としている。
 決算公告をめぐっては、新型コロナウイルス対策の「持続化給付金制度」業務を受託した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」が2016年の設立以来、一度も行っていなかったことが問題になっている。
讀賣新聞20201003ILCの実像①.jpg

地元、岩手県や一関市・奥州市などは違法行為に関係しているのか?
先端加速器科学技術推進協議会(AAA)会員リスト(正会員・賛助会員)を見ると、自治体は会員にはなっていなかった。しかし、寄付金は随時受け付けているので「寄付」という形で税金を投入している可能性はあるのか。お金の流れをはっきりさせてほしい。
先端加速器科学技術推進協議会(AAA)会員リスト(正会員・賛助会員)
正会員(法人)
以下のいずれかに当てはまる法人がご入会いただけます。
(1)加速器技術を適用した製品の製造又は流通・販売を行う法人
(2)加速器施設の設計・施工を行う法人
(3)加速器施設の運用・保守を行う法人
(4)本法人の目的に賛同する専門的な知識・経験を有する法人
賛助会員
本法人の目的に賛同し、その事業を賛助することを希望する大学及び 公的な機関又は団体がご入会いただけます。
また、当協議会では、ご支援を広報活動に活用させていただくためのご寄付の受付も行なっております。詳しくは事務局(メールリンク)までお問い合わせください。
https://aaa-sentan.org/association/members.html

先端加速器科学技術推進協議会(AAA)組織図
特別顧問 増田博也(元岩手県知事)などの名前も
https://aaa-sentan.org/association/org_chart.html
AAA.png

一般社団法人 先端加速器科学技術推進協議会 定款
https://aaa-sentan.org/association/constitution.html
第48条公告
1.本法人の公告は、電子公告の方法により行う。
2.事故その他やむを得ない事由によって前項の電子公告をすることができない場合は、官報に掲載する方法による。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント