【核燃サイクル】 核燃サイクル/再処理廃止は現実的な選択だ

河北新報2012年05月14日月曜日

核燃サイクル/再処理廃止は現実的な選択だ

 青森県が核燃料サイクル施設の受け入れを決めたのは1985年だった。四半世紀がすぎてもなお、描かれた原子力の夢は実現できず、存在意義が根底から問われている。
 核燃サイクルの中心施設は青森県六ケ所村に建設された再処理工場。原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、高速増殖炉の燃料に利用しようという計画だった。プルトニウムを使って発電しながら、同時に新たなプルトニウムも生み出すという「夢の原子炉」だが、いまだに実用化の見通しは全く立たない。
 核燃サイクルはさまざまな問題を抱えつつも、「国策」として膨大な資金がつぎ込まれてきた。だが、空前の被害をもたらした福島第1原発事故によって、原子力開発の徹底検証は避けられない。もはや再処理路線を転換し、現実的な道筋をたどる時期に来ている。
 このまま再処理を続けるか、それとも別の方法を探るのか。国の原子力委員会で使用済み核燃料の処分方法が議論されているが、発電量に占める原子力の比率を変えても、再処理せず地中に埋めた方が費用はずっと少ないという結果になった。
 例えば、これまでの原子力比率(35%)で全量再処理すると2030年までに18兆4000億円かかるが、全量地中廃棄なら4兆円程度少なくて済む。20年までに原発をゼロにして全量を地中廃棄する場合は、8兆円台に収まる。
 コスト面では明らかに地中廃棄が優位だ。再処理に対してはずっと、巨大な投資額への批判が付きまとった。再処理工場は建設費だけで2兆2000億円にもなったが、それでもなお本格操業ができないでいる。廃止のためにはさらに、建設費を超える費用が必要になるという。
 そうしたコストは結局、電気料金などを通して国民が負担せざるを得ない。使用済み核燃料の処分費をできるだけ低く抑えるのは当然のことだ。
 プルトニウム利用の点でも再処理は行き詰まっている。核爆弾の原料になる物質であり、使う当てがないまま生産することは国際的に容認されないが、国内ですぐ消費することはほぼ不可能になった。
 高速増殖炉原型炉「もんじゅ」のつまずきに加え、ウランとプルトニウムの混合燃料を用いるプルサーマルも、福島第1原発事故によって先行きが不透明になってしまった。
 再処理から撤退するとすれば、これまでに投じた費用の相当の部分が無駄になりかねない。青森県内の雇用や自治体の財政への影響という難しい問題も残り、原子力委員会の議論の中では「再処理工場の操業の中断」や「政策決定の先送り」も浮上しているという。
 しかし、もはや先延ばしは許されず、この機会に十分に議論して最終的な結論を見いだすべきだ。これまでにも何度か見直す機会はあったのに手を付けず、結局は未来の世代に負担を押しつけてきたからだ。

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